今年も振り返ると色々なことがありました。

世界を見ると今年1月にアメリカ大統領にトランプ氏が就任しました。大方の予想を覆すことでありました。その後大きなこととしては英国がEU離脱を決めたり、私たちにはやや身近ではないがヨーロッパ、中東などでも、きな臭い問題が続けて起きています。身近なところでは北朝鮮がミサイル、核実験を繰り返し、いつ不測の事態になるかと不安が募ります。世界中で混乱、波乱が起こっています。テロ事件、地震災害なども頻発し穏やかな気持ちで新年を迎えるという状況ではない師走です。

国内では印象に残るのが、東芝、NISSAN、神戸製鋼などを始めとする大手企業の隠ぺい体質、コンプライアンス破綻。昨年は大手医療企業の治験データー操作や、大学教授の論文作成不正などがいくつも報告されましたが、今年はさらに規模が大きくなり、日本または日本人に対する信頼が損なわれかねない事態となっています。

そこでふと思い出した言葉にゆでガエル症候群というのがあります。

徐々に変化している間は気づかずに、そのうち気付いた時にはすでに手遅れで、ゆであがってしまう現象を言います。急な変化の時には驚いて鍋から飛び出すなどの対応をとりますが、静かに進む変化には対応しにくいという事はよく経験します。個人的なことですが老化もそうだと最近つくづく感じます。

さて小児医療に関しては一部の地域を除いて小児人口は減り続けております。青森県を含め多くの県で少子化が深刻な状況です。さらにそれを上回る勢いで小児科開業医の高齢化が進んでおります。一方では全国的には小児科医の数は増加しており、小児科開業医も増加しています。

医学部入学定員枠が今や約9000人を超え、毎年多くの医者が誕生しています。その中で小児科希望者の割合が増えているわけではないが、実数としては小児科医になる人が増えているようです。

青森県でも日本小児科学会会員数は160人を超え、小児科医の数は増加傾向にあります。

一方県内各地の小児科を有する自治体病院では外来患者数、入院患者数ともに明らかに減少しています。病院小児科医の定員を増やす環境にない病院が多いようです。

今後も続く少子化の中で小児科開業医の選択は難しいものがあります。しかし自治体病院での勤務医の枠も増えない。とすれば若い小児科医は結局東京などの都会で仕事をするしかなくなり、結果としてさらに県内の小児科医の高齢化が進むことにならないのかと不安になります。

先日発表された2016年度の一般診療所の経営調査報告で前年度に比べ収支が改善したのは眼科と皮膚科のみで、内科、整形外科は微減。小児科は1.1ポイント悪化したとのこと。

柔道整復師の保険診療請求額が小児科開業医の請求額を上回っている状態を、小児科医は深刻に受け止める必要があると思います。現在の予防接種バブルが終わると、一部の地域を除いて小児科開業医の経営は成り立たなくなるだろうと言われています。

私のところには全国各地の小児科医会会報が送られてきて目を通しています。青森県と状況の似たある県の会報の巻頭言で新しく就任した会長が、小児科医会会員数の減少、企業の協賛の減少、少子化による患者数の減少などにより会の運営が難しくなり、ダウンサイジングが必要になると書いていました。身につまされる思いで読みました。

元気を出して青森県小児科医会を盛り立ててゆかなければ、子どもたちが困ることになります。ゆでガエルになってしまってからでは遅すぎます。

 

くる年が良い年でありますよう。

 

平成29年12月17日

青森県小児科医会会長

河内暁一