5「体質」は少し難しく表現すると、身体的、精神的および機能的特性の総和ということになります。体質の違いには大きな幅があります。それが個人差です。身長、体重など体の大きさは数値で表すことができますので、比較しやすいものです。私たちが乳幼児健診で、この子どもは問題がないのか、少し注意が必要かを判断する時は、正常範囲内か否かという見方をします。身長、体重などがこの範囲内にあれば、まずは合格と考えます。以前、体重は標準体重のプラス何パーセント、マイナス何パーセントと表現していた時期があります。しかしこの場合、あなたの赤ちゃんの体重はマイナス7パーセントですと言われると、少し心配になってしまいますね。そこで今ではパーセンタイルといって、同じ年齢の子どもが100人並んだとして、前から10番目というような表現になっています。食欲旺盛な子どももいますし、食の細い子もいます。太り気味、やせ気味であっても、健康に成長を続けていれば、それは正常範囲内であり、個人差と考えられます。しかし順調であった身長、体重の増加が思わしくないとき、なんとなく元気のなさが続くときなどは、病気の始まりのこともありますので小児科医に診てもらう必要があります。
つぎに、首すわり、寝返り、ハイハイ、お座り、つかまり立ち、つたい歩きなどの運動能力の発達について考えてみましょう。これもほかの子どもとの比較が容易なため、親にとっては気になるものです。やせているが活発で、10ヶ月で歩く子どももいますし、1歳半になって歩き始める子供もいます。しかし、ほかに問題がなければどちらも正常範囲と考えられます。早く歩き始める子どもは、運動能力だけでなく、知能の発達も早いかというと、必ずしも関係はないようです。言葉の発達に関しても個人差は大きいようです。
3歳でまだ言葉が乏しい子どももいます。一方、2歳前でもびっくりするような口達者の子どももいます。言葉以外の発達が正常であれば、言葉の遅れは心配ないことが多いようです。かの有名なアインシュタインは、小学校に入るまでほとんど会話ができなかったと言われています。子どもの体質や個人差には栄養などの環境因子のほかに、両親からの遺伝も関係します。扁桃腺で高熱を出しやすい、虫に刺されると大きく腫れる、風邪の鼻水が長引く、中耳炎になりやすい、車酔いをする、朝起きが苦手、寝ぼける、歯ぎしり、乾燥肌、アトピー体質、などは遺伝の影響が大きいように思います。その中で最近何かと話題の多いものにアレルギー体質があります。牛乳、卵アレルギーがあるので、食事制限が必要か?予防接種は受けられないのかと心配している方もいます。詳しく話を聞き、検査をすると長期の治療が必要であったり、予防接種が受けられないという人は本当に少ないようです。そのような赤ちゃんの体質、個人差を総合的に判断するのが乳幼児健診であり、小児科医の役割です。