10今年の冬は昨年にも増して降雪が多く、春が待ち遠しくなりますね。私のクリニックは小学校の向かいにあります。春になって最もうれしい光景の一つに、新入学児童の姿があります。真新しいランドセルを背負い、喜びが表情にも体の動きにも満ちあふれているように感じられます。

入学してしばらくの間、一年生は午前授業のため、お昼過ぎには家路に就きます。子供たちは、新しくできた友達と追いかけっこをして、一度来た道をまた学校の方へ戻ったり、押しボタン式の信号機を何度も往復したりと自由奔放です。学校が楽しくて仕方がないという子が、ほとんどのように見受けられます。

しかし学校が始まってしばらくすると新一年生の中に、朝になるとお腹が痛い、頭が痛い、気持ちが悪くなるという訴えで、病院を受診する子供がみられます。もちろん便秘が原因であったり、風邪の始まりであったりすることもありますが、どうみても病気ではないという場合があります。

私の印象ですが一般におとなしくて、少し引っ込み思案、あまり自己主張をしない子が多いように思います。学校という集団生活の中で、子供同士でも力関係ができてきて、少しストレスを感じ始めているのでしょうか。

このような時には、まず子供の話をゆっくり聞いてあげてください。親が自分の味方であるという安心感を子供に持たせることが大切です。子供が学校での出来事などを何でも親に話をしている間は、問題が深刻になることは少ないようです。会話の中で、子供を励まし、スポーツなど何か得意なものを持たせて自信を付けさせる。そして自立できるように促すことが、その後の複雑な人間関係を乗り越えていく力になるのだと思います。

学校へ行きたがらないという子供のサインに適切な対処をしないでいると、不登校につながることがあります。2003年に年間三十日以上欠席して不登校とされた小中学生は、全国で十三万人近くに達します。(このうち小学生は約20%です)

不登校になる子供はまじめで、周囲に気を使う、繊細で感受性の強い子供が多く、純粋に怠けで学校へ行けなくなっていることはまれなようです。根性がない、忍耐力がないからというのは、間違っています。不登校の直接のきっかけには学校生活、家庭生活、本人の問題などが多いようですが、それ以前に伏線があり、我慢をして登校を続け、疲れてしまって不登校になったというケースが多いようです。

不登校は心のSOSです。家庭内暴力、摂食障害、引きこもりなどに進む場合もあります。ただ、不登校になった子どもの80%は五年後には学校か仕事に就いているという報告もあります。児童精神科医などと連携し、あせらずに解決の努力をするのがよいと思います。