16 初めに小児の下痢についてお話します。

夏場に向かい、小中学生が下痢を訴えて受診し、同時に腹痛、嘔吐(おうと)、発熱などを伴う場合は、食中毒などの細菌性胃腸炎を考えなければなりません。便を調べると、病原性大腸菌とかサルモネラなどの病原菌が検出されることがよくあります。

一方、乳幼児では感冒性下痢症といい、ビールスによる胃腸炎が多いようです。熱が出て、のどが痛くて食欲が落ち、軟便が見られます。これらに対しては適切な治療をしなければなりません、しかし、母乳、ミルクを飲んでいる乳児が下痢をしているという場合は、心配のないものも多いのです。

乳児期では便の様子は毎日変化します。母乳を飲んでいる赤ちゃんでは日に十回の水溶便があっても正常なこともあります。便の色もクリーム色、褐色、緑色など多様で、いつも同じような便が出ることの方がまれです。

一番の目安となるのは機嫌、ミルクの飲み方、それと体重増加です。離乳食を始めた赤ちゃんでは、離乳食の内容や量によっても便の状態はかなり変化します。時に病的な下痢便のこともありますので、実際に便を持ってきてもらうと小児科医には大変参考になります。やわらかさの程度、色、においや粘液、顆粒(かりゅう)、血液の混入などから腸の状態をかなり良く知ることができます。

先の感冒性下痢症などを含めて、胃腸炎の後、なかなか便が正常化しないことがあります。これを腸炎後症候群といいます。また、胃腸炎により小腸粘膜が障害され、ミルクに含まれる乳糖を分解し、吸収することができなくなることを二次性乳糖不耐症といいます。このようなときには乳糖を含まないミルクに替えると回復してきます。治った後には、またもとのミルクに戻しても大丈夫です。安易にミルクアレルギーなどと考えずに小児科医に相談するとよいでしょう。

次に小児の便秘です。これもやはり年齢によって異なりますが、自立排便ができるようになった子供では、排便が週に三回未満で排便困難がある場合をいうようです。

子供の便秘の多くは、排便したいときに画面することから起こります。毎日同じころに排便をする習慣をつけることが便秘予防には大切です。最近は朝、排便してから幼稚園、学校へ行く子供の割合が四人に一人くらいしかいないそうです。

学校帰りに激しくおなかが痛くなったと青い顔をして病院を受診する小学生が時々います。親は盲腸などではないかと心配顔。おなかを触ると便とガスがいっぱいで、かん腸をすると病院の子供用トイレが詰まりそうになるほど大量の便が出て、「あ~さっぱりした」とニコニコ顔になることがあります。

話を聞くと、「朝はトイレに行く時間が無く、学校でも恥ずかしいので大便は我慢する」「放課後に部活を始めたところ、激しい腹痛が始まった」という場合が多いようです。

食事の内容も便秘と深く関係します。水分と残渣=ざんさ=(人間の腸で消化できずにそのまま便として出されるもの)の多い食事が大切です。野菜や果物など繊維の多いものを取りましょう。