18 血液は赤い色をしていますが、この色は赤血球に含まれているヘモグロビンの色です。赤血球の重要な働きは、肺から新しい酸素を受け取り、体の隅々まで運ぶことです。しかし、赤血球の数が減少したり、ヘモグロビンが不足した不良品の赤血球しか作られないと、運ばれる酸素の量が不十分となり、体の不調を起こします。これを一般的に貧血といっています。

今回は、貧血の中で最も多い鉄欠乏性貧血を取り上げたいと思います。

小児で鉄欠乏性貧血になりやすいのは、乳児期と思春期です。ともに体の成長が著しい時期です。赤ちゃんは生まれてから一歳になるころまでに、身長は1.5倍、体重は三倍になります。この成長を支えるには、母乳やミルクだけでは鉄分が不足します。生後六ヶ月ごろから離乳食を始めなければならない大きな理由がそこにあります。

一方、思春期も体が急に大きくなる時期で、鉄分の必要量が増えます。女児では月経が始まるのでなおさらです。時代や地域によっても多少違いますが、思春期女児では25%、四人に一人が貧血という調査もあります。

貧血になると酸素を運ぶ量が減りますので、心臓は回数を増やして補おうとします。そこで心臓がドキドキし、脈が早くなります。脳に行く酸素が減ると、頭がぼんやりする、立ちくらみがする、めまいが起こる、ひどいときには吐き気が起こるなど、いわゆる脳貧血の状態になります。

運動部に所属している子供が貧血になると、まずスタミナがなくなり、すぐにバテてしまうので、たるんでいるように見られてしまいます。

また、鉄はヘモグロビンの材料になるだけではなく、精神活動を含めた体内のいろいろな化学反応に非常に大切なものです。キレやすく、こらえ性がなく、けんかっ早い子が、実は鉄欠乏性貧血による症状だったということもあります。しかし、現実には貧血を訴えて病院を受診することは意外に少なく、風邪などで受診した際などにたまたま医者に指摘されることが多いようです。

鉄欠乏性貧血の診断は、血液検査をすれば容易です。治療は食事指導のみですむ場合はまれで、多くは鉄剤をのむことになります。鉄剤をやりますと、二週間から四週間で貧血は一見かなりよくなるのですが、最低でも三ヶ月ぐらい続ける必要があります。

それとともに、やはり食事の注意も必要です。鉄分は肉、卵、魚などに多く含まれています。今の時期、旬のサンマなどは絶好です。海産物の貝類とか海藻類、陸の物としては大豆に鉄分が多く含まれており、豆腐、納豆、油揚げ、がんもどきなどがお薦めです。ポパイで有名なホウレンソウなどの色の付いた野菜も鉄分が多く含まれています。意外に思うかもしれませんが、牛乳は鉄分が少なく、吸収も悪く、牛乳貧血という言葉があるぐらいです。牛乳を飲み過ぎると貧血になることもあります。いろいろな食品をバランスよく取ることが大事です。