22 先月、校医をしている松原小学校で就学時検診があり、終了後、父兄の方にお話をする機会がありました。タイトルは「ほめて育てる」ということにしました。

最近は少しずつ変化が見られますが、日本人はほめられることがあまり上手ではないといわれています。オリンピックをはじめとする国際大会の成績を報じる新聞見出しにも、銀メダルを取った選手に「あと一歩届かず!銀に終わる」という書き方をよく目にします。

私は家族を連れてアメリカで二年間暮らしましたが、アメリカ人が自分の子供たちを人前で大変よくほめることに驚きました。日本人なら少しへりくだって「うちの愚息が」などという言い方をしますが、あちらでは聞いている方が恥ずかしくなるようなほめ方をする場合もありました。

ただ、学校の先生もテストで八十点を取った子に、エクセレントなどと大げさにほめます。満点の百点からマイナス二十点という考え方はしないようです。やはり文化の違いなのかその時は思いました。しかし最近、子供は上手にほめながら育てるのが一番よいのではないかと思うようになりました。子供たちには大きな可能性があります。勉強や習い事に関しても、いったん学ぶことの楽しさ、面白さを知ると、放っておいても自ら努力し、急激に伸びていくことがあります。

子供は親から見ると、初めは何事もスローに感じると思います。しくじったりもします。しかしそこで親がすぐ手出しをすると子供の自主性が育ちません。親も少し辛抱し、良いところを認めてほめながら励ましてあげるのが大事です。そのためにも親は少し心の余裕が持てるとよいなと思います。

以前、薬の飲ませ方のところでも書きましたが、子供が薬を我慢して飲むのは、ほめられたい、親が喜んでくれるのがうれしいからです。小児科の診察で、泣きながらでも何とか頑張った子供を、親と一緒に心を込めてほめてあげると、一歳半くらいでも次回から、よりスムーズに診察できるようになります。子供が我慢をしたときには、ほめてあげるというのが大事です。

上手にほめるには上手なしかり方を知っておく必要があります。危険なことをしたりしてしかるときは、その場で、具体的にしかる。感情的にしかったり、体罰を与えたりしない。また父親、母親らのしかる基準が、いつも一貫していることなどが大切です。

ほかの人と比較するしかり方、いやみを言う、食事をさせないとかのペナルティーを与えるのは、よくないしかり方です。

子供をほめることは家庭以外の幼稚園、学校などでも大切だと思います。どの子にもよい点があるものです。周りがその子の良いところをほめてあげることで、本人も自信がつきますし、周りも一目置くことから、いじめの防止にもつながると思います。

ほめて励ますことと、甘やかすこととは全く違います。”子供は育てたように育つ”という言葉があります。上手にほめて、よい子に育てていきましょう。