23 最近は以前に比べて、患者さんや患者さんの親御さんたちが、医者に対して気軽に心配事や疑問点を質問してくれるようになってきています。大変よいことだと思っています。なるべく丁寧に分かりやすく説明しようと心掛けているつもりですが、時に、答えに窮するような質問を受けることがあります。その一つに、薬に対して「その薬は強い薬でしょうか?」というのがあります。

確かに副腎皮質ホルモンが入っている軟こうなどのように、最も強い、大変強い、強い、中くらい、弱いというように五段階に分類がされているものもあります。そのような軟こうでは、小児科の医者は乳幼児に対して最も強い、または大変強いものは原則として使いません。

しかし、せきや鼻水、下痢の薬などは種類がたくさんあっても、症状の違いによって使い分けるもので、効き目の強い薬、弱い薬という考え方は医者にはあまりないと思います。特別に、ある症状を抑えたいときには、薬の量で調節することはあります。

抗生物質を出さなければならない病気のときに、「抗生物質は強いから出さないでほしい。できれば漢方にしてください」などと言われることがあります。その病気についてのパンフレットを読んでもらったり、いろいろな説明をして納得していただくのに時間が掛かることもあります。何となく不安に感じて、結局飲ませなかったため、合併症が残ってしまっては大変です。

こんなこともありました。十日以上もせきが続き、薬をもらっているがよくならない。とうとうせき込みで夜も眠れないほどになり私の所を受診した、というのです。胸部レントゲン写真と今まで飲んでいた薬が無効だったことなどからマイコプラズマ肺炎と診断し、薬を変えたところ見る見るよくなりました。

親が「かなり強い薬を使ったのでしょうか?」と心配顔で聞くことがあります。この場合も強い薬、弱い薬というのがあるのではなく、その病気に合った薬か合わないかということだと説明するとほっとするようです。

小児科医は子供に薬を出す場合、まずその薬がその年齢の子供に対して安全なのか(六ヶ月未満には出せないとか、二歳以上でまたは七歳以上で初めて使える薬などいろいろあります)体重当たり標準では何ミリグラム出せばよいのか(年齢で出す量を決めることもありますが、五歳で十四キログラムの子もいれば三十キログラムもある肥満児もおり、ほとんどの場合は体重当たりで計算します)、ほかの薬との配合に問題がないか、アレルギー体質などないか、アレルギー体質などないか、以前にその薬で副作用はなかったか、飲める程度の味になっているか(粉でも水でも)、ほかに飲んでいる薬はないかなどを考えます。

最近、患者さんは、結構いろいろな病気にかかるようです。以前の病院で、小児科医から見て、子供に飲ませない方がよい、または飲ませてはいけない薬をもらっているのを目にすることがあります。本当はこういう薬を強い薬(危険な薬)というのでしょう。ふと、以前読んだアーサー・ヘイリーの「ストロング・メディシン」(強い薬)という小説で、重篤な副作用を起こすものをそう呼んでいたことを思い出しました。