00民間療法というのは「医師以外の者が行う医療行為」を言うのが一般的だと思います。

インターネットで民間療法という項目で検索してみると、何千もの項目が表示されます。主として植物(果実、野菜を含め、野草などの葉や茎や根)を食べたり、せんじて飲んだり、体に貼ったり、いぶしたりというものも多いようです。

そのようないわゆる薬物療法のほかには、体に良い水(アルカリイオン水とか酸性水とか、さらには神様の水)、自然食品、ダイエット食品に関するものもあります。磁気や電子機器を用いた物理療法、呪術的療法、信仰的療法などもあります。

民間療法の中には、現代医療では助からないと宣言されたのに奇跡的に治ったとか、すべての病気に効くなどと宣伝しているものも多くあるようです。民間療法はすべて無効だと言い切ることは出来ないかもしれません。事実、民間療法がきっかけで新しい治療法が開発されたということもあります。

もちろん現代医学は万能ではありません。どうしても助けられない病気もあります。そのような状況になったときに、わらをもつかむ思いで、民間療法に救いを求めることは理解できます。

現代医学の手の届かないところに民間療法が広まるようです。例えば、かつて国民病と呼ばれた結核は、今ではほとんど薬で治るようになりました。その結果、結核に対する民間療法も最近はほとんど見られなくなりました。

私は、弘前大学小児科に在籍していた二十年間近く、子供の悪性腫瘍(しゅよう)の治療などを専門にしていました。(悪性腫瘍=いわゆるがんで、その中で最も多いのは白血病です)

医学の進歩により、全体の70%くらいは治癒するようになっています。しかし、残りの子供は不幸な結果になることになります。そのような時、家族が伝え聞いた民間療法を試してみたいということがありました。私たちは、それが体に悪い影響が無い場合は原則的に認めることにしていました。

しかし、小児の悪性腫瘍に関しては、民間療法によって奇跡的に助かった子供を私は1人も知りません。
民間療法の大きな問題点の一つに、それを受けているために治る病気が手遅れになるということがあります。また、中には極めて危険なものもあります。外国からひそかに輸入された薬品で死亡したというニュースを記憶している人も多いと思います。

子供に対して民間療法を考えるときは、それが本当の思いやりなのかどうか、危険なものではないのかを、信頼できる小児科専門医に良く相談するのが良いと思います。民間療法のすべてが無効とはいえませんが、常識を働かせ賢い選択をしていただきたいと思います。

■アトピー性皮膚炎に関する民間療法(「アトピー性皮膚炎テキスト 改定第2版」より抜粋

1.古くから皮膚に良いと用いられている治療
アロエ、米ぬか、オリーブ油など

2.対照群をおいた比較検討が行われていない治療
アルカリイオン水、酸性水、ソフトレザー、食塩、シジウム茶、ウーロン茶、SOD療法、断食療法、食事療法など多数

3.商業性をうかがわせる治療
プルーン、プロポリス、クロレラ、無農薬野菜、自然食品、海水、健康食品、温泉・温泉水、アトピー用入浴剤・せっけん・化粧品、防ダニ製品、空気清浄器、電気治療器、建築材料など多数

4.最近よく使われるようになった治療
馬油、どくだみ茶、ヨーグルト茸、よもぎ茶、シソの葉エキス、木酢油など