平成18年1月、青森県の6つの保健医療圏の中で唯一365日24時間、小児の救急患者が小児科医のもとにたどりつく体制が発足した。

津軽地域8市町村の小児科医、病院、自治体(行政)、消防および弘前大学小児科の協力で発足してから8年目を迎えた。

発足までの経緯、体制の概要については第28回の本連合会総会で報告されているので詳細は省略するが、一次救急は域内の小児科開業医18名と弘前大学小児科医が担当することとなった。

二次救急は輪番病院として小児の入院治療が可能な6病院が担当した(小児科勤務医は合計19名であったが、実働は17名)。

三次は弘前大学小児科が担当となっている。

一次救急は弘前市の急患診療所を利用し、夜間は毎日午後7時から10時30分までの診療で、その他日曜日と、祝祭日(振り替え休日を含む)および8月13日、12月31日は午前10時から16時までの診療も行っている。

急患診療所が開いていない時間帯は、その日の二次輪番病院が一次の患者にも対応する体制で行っている。急患診療所での診療実績は、年による変動があるが年間5800人から7600人で、二次輪番病院を受診した一次救急の患者数は2200人から3500人であった。

合計すると少ない年で8200人、インフルエンザが流行した年などは11000人の一次救急患者がこの体制を利用していることになる。

ちなみに平成24年度をみると急患診療所受診患者総数6481人中91人(1.4%)が二次輪番病院に紹介となっている。いままでのところは大変順調に運営されていると言える。

しかしこれまでは小児科医の強い熱意と、犠牲的精神のもとで成り立っていたこの体制の問題点がすでに露見してきている。最も大きな問題点は小児科医師の高齢化である。

平成25年度現在一次救急担当開業小児科医の人数は、数としては発足時の18名と変わらない。

18名中女性医師が7名である。年齢構成は50歳未満3名、50歳台8名(50歳台前半3名、後半5名)、60歳台4名、70歳以上3名であり、平均年齢59.2歳である。

平成23年度からは平均年齢が60歳を超えていたが、平成25年度は、70歳台が一人リタイヤーし、30歳台が参加したため平均が59歳台に戻っている。

しかしこのままのメンバーであれば来年度は再び平均年齢は60歳を超えることになる。

発足時も70歳以上の方が3名参加されていたが、それでも平均年齢は56.1歳であった。

平均年齢が進むことは勿論問題だが、それは当番の割り当てにも影響してくる。

日曜日、祝祭日については自院で診療を行っている小児科医もおり、日直が可能な者が12名のみ、当直は10名のみであり、少数の人に多くの負担がかかる。

弘前大学小児科に日曜日、祝祭日の当直を年間18回依頼している。

平成24年度をみてみると一次救急には現在より一人少ない17名の参加であったが、年間25回以上(最高は30回までとしている)の当番をしている者が11名。

平成24年度はこの11名で日直、当直トータル437コマのうち296コマ(68%)を行い、その他の141コマのうち55コマを弘前大学小児科で、残り86コマを6名が分担した。

小児科医の不足と高齢化は二次輪番病院体制にも深刻な影響を与えている。

発足時二次輪番病院は6病院であったが平成20年に5病院に減少。

勤務医師数は実働17人から4名減少しており現在13人。負担は限界に近付いている。

ある50歳台の小児科科長は月に3回小児救急二次輪番の為に当直をしている。

小児科医が二人しかいない病院なので、勿論翌日は通常勤務が待っている。

弘前大学小児科から2つの二次輪番病院に当直の応援をしてもらっている。

しかし大学から一次救急に年間55回人を出しており、20人足らずの教室員では人手不足でとても余裕が無い状態である。

小児科医みなが大きな負担に耐えて小児救急を維持しているため、時に意思疎通を欠き不協和音が聞かれることもある。

しかしこの救急医療体制ができる以前は、各小児科開業医、各病院はそれぞれで時間外の患者受診に対応せざるを得なかったのであり、いわゆるたらいまわしも見られていた。

二次輪番病院でも5日のうち4日は急患の心配をせずに過ごせるのと、急患診療所が開いている間はいわゆる一次の患者が直接病院を受診することはほとんど無いことなどから、若い勤務医も現在の体制が患者にとっても、勤務医にとっても、開業医にとっても、負担の軽減に役立っているということを理解してほしいと思う。

小児救急医療体制の整備は本来行政の仕事であり、我々小児科医は協力を要請される立場のはずである。

しかし行政は懸案であったものでも一度スタートさせてしまうと、処理済み案件としてしまう傾向がある。

またうまくいっている時は自分たちの手柄にして、不都合が起きると現場に丸投げをして「小児科の先生の前向きなお知恵をお借りしたい」などと発言したりもする。

行政との円滑な共同作業が必要不可欠と思われる。

その他の改善を要する問題点についても述べる予定である。

青森県小児科医会  河内小児科・内科クリニック  河内暁一

平成25年10月5日・6日
第33回東北・北海道小児科医会連合会総会にて発表

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