外来で診察をしていると、世の中には本当に色々な人がいるものだと驚いてしまいます。

小児科医は患者さん本人と話をすることは少なく、ほとんど親とか祖父母の話を聞いてから診察を始めますね。

短い時間で適切な診断、指示をしようと頑張っておりますが時には笑ってしまうことや、あっけにとられること、頭が痛くなることなど、予想もしない会話になることがあります。

皆さんも似たような経験があると思います。折につけメモをしておいた中からいくつか紹介してみます。

 

 

新鮮な驚き

 

2カ月の赤ちゃんを連れた21歳の母親

Dr.:どうしましたか?

母: へそがタコ焼きになったみたい。

≪確かに大きさがタコ焼きにそっくりの臍ヘルニアでした。座布団一枚ですね≫

 

 

やはり20代前半の母親

母:昨日からせきが出てるんですけどー。

Dr.:ずいぶんゼロゼロしているようだけど。

母:先生気にしすぎ!

≪気遣ってくれてありがとう≫

 

 

女子高校生

Dr.:どうしたの?

彼女:胃が筋肉痛になったみたい!

≪なんとなくわかる気がします≫

 

 

普通のお母さん

下痢をしているという子供を連れて来て

Dr.:どんな便でした?

母:カレーライスのようなべとべとな便です。

≪私この子を診た後昼食なのに≫
このほかにとじ卵のような便とか、イチゴジャムのような便(粘血便)と例えたお母さんもいました。

 

 

乳児健診で

Dr.:お母さんこの子は予定日どおりに生まれたのですね?

母:いいえ!早産でした。

Dr. :え!そうなんですか?

母:予定よりも1日早く生まれたんです。

≪そう言えば熱は何度ありましたと聞くと、37.78度とか答える親もいますね≫

 

 

母親が女性警察官

おたふくかぜの説明パンフレットを渡したところ、2-3週間も家にいなければならないのですか?とのこと。

Dr.:学校を休むのは1週間くらいですよ!

母:でもこの説明では潜伏期が2-3週間と書いてありますが。

≪さすが警察官、家に2-3週間“潜伏”していなければならないと思ったよう≫

 

 

神経線維腫症児の母親に少し詳しく説明しようとして、年を取ると首にneurofibromaができることもあると話した。

Dr.:「昔話しで、こぶ取り爺さんと言うのがあるでしょう」と話すと、怪訝そうに私を眺めて「小太り…の爺さん??ですか」とのたもうた。

≪例えが悪かった?四文字熟語、ことわざなどで例えると相手に全く通じないことが多いですよね≫

 

 

ゼーゼ―してなかなか咳が止まらないという4歳の男の子が当院を初めて受診。
気管支喘息でしょうと説明し、喘息の治療をした。一週間後大変良くなって来院。

母親が言うには「すごく良くなったのでこの子先生を気に入ったみたい」

≪4歳の児に“気にいられた”というのを小児科医としては素直に喜ぶべきなのかな?≫

 

 

ものは言いよう

 

Dr.:どうしましたか?

母:昨日は3回、今日はもう4回もトイレに行っているんです。

Dr.:ああ、下痢をしているんですね?

母:いいえ、ウンコが固くて出ないんです。

 

 

4歳の男の子。訴えは鼻汁。

Dr.:どんな鼻汁が出るのですか?さらさらとか、白いとか黄色いとか。

母:黄色いのも出るし、青い時もあるし(緑色のこと?)赤い時もある。

≪交通信号じゃあるまいしと思いつつ、赤い鼻って鼻血のことかと聞くとそうだと言う。普通始めから鼻血というよね。≫

 

 

Dr.: 朝ご飯食べてきた?

母:ご飯は全然食べません。

Dr.: 食欲ないのかな?

母:うちは朝はパン食なんです!

≪あ!そう!≫

 

 

急性気管支炎で薬を3日飲んで再来受診した子に対して

Dr.:機嫌とかどうですか?

母:すごく悪くて益々悪くなっています。

Dr.:熱も下がって咳も少なくなって元気そうに見えますが。

母:先生が外に出てはだめだと言ったので、すごく機嫌が悪いんです。

≪なんか違うような気がするけど≫

 

 

少々心配ですね

 

父親が4歳の女の子を連れて当院をはじめて受診。

数日前から熱も高く、咳もかなりひどいとのこと。

Dr.:気管支炎になっているようなので、きちんとお薬を飲まないと肺炎になりますよ。

父:この子薬は飲まないんです。

Dr.:それじゃ注射とか点滴で治療しなければ治りませんよ。

父:注射は止めてください。やらないと約束してきたんです。

Dr.:それじゃ、うちでの治療は難しいと思いますよ!

父:こちらの病院治療が上手だと聞いてきたんですがね―。

≪今まではどうしていたのだろうか?≫

 

 

典型的な蕁麻疹で、体幹をはじめあちこち膨疹が出ている子供の母親に

Dr.:蕁麻疹ですね。今回初めてですか?何か原因らしいものはありますか?

母:蕁麻疹ではないと思います。砂場にまいていた薬品にかぶれたのだと思います。

≪こんなとき皆さんはどう対応するのかな?≫

 

 

診療終了間際に3歳の男の子を連れてきて

母:昨日からせきがひどく、下痢も数えきれないくらいで、ほとんど水のよう。吐き気も強く、物を口に入れたか入れないかですぐに吐いてしまうほど。熱は体温計が壊れるのではないかと思うほど高くて、熱さましの座薬を何回使っても全く熱は下がりません。

≪それじゃどうしてもう少し早く連れてこないのだろうか?≫

 

 

朝学校へ行くときに吐いたのでと母親と一緒に受診した10歳の女の子

Dr.: おなかが痛いとか、下痢をしているとかはありませんか?

母:頭が痛かったんでしょ!

子供:無言

Dr.: おなかの調子はどうなの?

母:喉も痛いって言ってなかった?

子供:無言

Dr.: お腹はなんでもないの?痛くは無いの?

母:お腹だってさ。お腹どうなの?先生聞いているよ。はっきり言いなさい!

≪これじゃ子供も吐きたくなるよね≫

 

 

前日から熱が出たと30分おきに20回くらい体温測定した結果を、エクセルで表にして持ってきた母親。

≪子供も30分ごとに起こされて大変ですね≫

 

 

2人目の子供。生後2カ月になるので予防接種の予定を相談に来た母親。公務員。
余程勉強をしたのだろうね。生後2カ月から11歳から13歳の間に接種する二種混合までの予定がすべて書かれてあった。ご立派と言うしかないが、人生それほど予定通りにはいかないよ。
ほめるとこのお母さん、こどもの定年退職の日付まで書いてきそうだったので、とりあえず初回の予定をお話ししました。

この偏差値は高そうなお母さん、その後この赤ちゃんがおでこ、胸、背中などあせもになって受診した際私の説明に「あせもってこんなところにも出るんですか!!」とひどく驚いていました。
上の子供は一度もあせもにならなかったのだろうか?

 

 

こんなことをメモしながら診察中肩のコリをほぐしています。

 

※平成26年7月発行の「青森県小児科医会会報」掲載