青森県小児科医会会長退任のご挨拶

平成30年12月の青森県小児科医会臨時総会において、約4年半務めさせていただいた青森県小児科医会会長を辞し、八戸の差波司先生にバトンタッチすることができました。

会員の皆様のご協力に感謝いたしますとともに、在任中に成し遂げられたことが少ないことをお詫びいたします。

4年半を振り返り、私なりに感じた事を列記してみます。今後の青森県小児科医会の発展に役立てられることがあればと思います。

1.会員を増やすことはなかなか難しく、私が会長に就任した平成26年には68名でした。

  新規に開業する小児科医は極わずかであり、勤務医会員を増やそうと考えました。県内の主要病院の小児科責任者に、小児科医会の趣旨をお伝えし入会していただきました。平成28年には会員数81名まで増やすことができました。その後若い小児科医の入会勧誘を行いましたが、新たな専門医制度がスタートする流れの中で、さらに会員数を増やすことはできませんでした。亡くなる先生もおり平成30年度には79名となっています。今後若い小児科医に参加してもらうためには、何か新しい手立てを講じなければ難しいと思われます。

2.全国でワースト記録を続けている青森県の小中学生の肥満児問題は深刻です。県内で熱意のある小児科医のいる一部地域では、対策によって効果が出ていますが、全県的にはほぼお手上げ状態と言ってもよいと思われます。過去に県が対策を検討したり、学校保健会でも取り組みなどがありましたが、効果が見られていないようです。その大きな理由は、学童期の肥満はすでに幼児期に問題が発生しており、その芽を摘んでおかなければ、なかなか難しいからです。青森県小児科医会が中心になり取り組んで行こうと努力をしましたが、かなり根が深い問題なのだと分かってきたところまでで、バトンタッチになりました。

3.小児在宅医療と医療的ケア児対策

  小児在宅医療に積極的に取り組もうとの試みは、一部の地域で10年以上前から行われていました。一方青森県では県内に医療的ケアを要する小児患者がどの程度存在するかの、基礎的なデーターもありませんでした。仙台で開かれる東北・北海道小児科医会連合会総会のシンポジウムのテーマが「小児在宅医療」と知らされた時、青森県からの演者を探すのが大変でした。ようやくたどり着いたのが県立中央病院の網塚先生でした。その後小児科医会、県医師会、青森県が協力して県内の医療機関へのアンケート調査などを行い、医療的ケア児の実態が分かり、ようやく対策が取られつつあります。

4. 小児の虐待

  青森県内でも小児の虐待件数は増え続けており、我々小児科医がいかに関与できているかをアンケート調査しました。我々が子どもの虐待を疑う機会が、日々の診療の中にあるのかと予想しましたが、意外なほど少なかったことが印象に残っています。

5.禁煙対策

  青森県は喫煙率が全国ワースト前後を行き来し、女性の喫煙率も高く、せっかく妊娠中は禁煙出来た母親がお産の後も禁煙を続けられるようにと、小児科医会を含め、産婦人科医会、青森県医師会、青森県が協力して禁煙運動(無煙世代育成事業)を始めました。その他にも多くの団体、組織で禁煙運動がなされております。短時間で効果は出ないかもしれませんが、子どもたちに対する禁煙教育にもなると考えられます。

6.いわゆる「成育基本法」が約20年にわたる難産の末、平成30年12月に成立しました。今後の小児医療は今までとはかなり異なった状況での対応が求められるだろうと思います。我々の世代が頭を悩ませた麻疹、風しん、水痘、おたふく風邪などを始めとする多くのウイルス感染症や、その他重症な細菌感染症を診ることは大変少なくなりました。さらには感染症や気管支喘息発作などで入院加療する患者が激減し、ほとんどの市中病院小児科のベッド数も漸減しております。これからは心身ともにすこやかな子どもをいかにして育ててゆくかが、小児科医の大きな役目の一つとなるでしょう。

以上思いつくままに書き出してみました。

平成31年3月31日

河内暁一